言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
僕の言葉に呆然としている敦史さん
その顔に隙あり、と言わんばかりにキスをした
そしてそれで動かないのを確認したら、今度は唇だけじゃなくて顔全体あらゆるところにキスを落としていく
「こんなに愛しいのに離れてしまったら、それこそおかしくなってしまいます」
「……千秋……」
見開かれた敦史さんの目から、涙が溢れた
あの時に見て、ずっと後悔していた涙
どうして慰められなかったんだ
どうして止めてあげられなかったんだ
それが今、浄化されていくみたい
「ごめん……千秋、ごめん…………」
敦史さんが弾かれたように動き、僕を強く抱きしめた
「敦史さん、僕もごめんなさい。あの時に、ちゃんと言ってあげられれば良かったのに」
すると後ろから衣摺れの音と、床に何かが落ちる音がした
振り返って見ると、悠史さんが床にへたり込んでいる
「あはは……気が抜けてしまいました。……千秋さん、僕も慰めてくれますか?」
「ふふふっ……はい、もちろん」
「捕まれ、千秋」
「えっ?あ、わわ……」
僕が敦史さんから離れようとすると、敦史さんが僕を抱き上げて悠史さんの近くに連れて行ってくれた
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