言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
今まで出したこともないような自分の嬌声を聞いて吐き気がするほど気持ち悪いのに、高まっていく自分は止められない
あぁ、だめだ
もう
僕が自分の限界を悟った時、頭によぎったのは千秋さんだった
「ちあきさ……っ、」
意識が途切れそうになる中名前を呼ぶと、エリカさんの動きが止まる
「千秋さん……ちあ、きさ……んっ……」
僕は何度も何度も
離れた今でも愛しいその人の名前を呼んだ
すると、エリカさんが動きを止める
「悠史……ねぇ、まだ千秋のこと忘れられないの……?」
「はぁ、はぁ……はぁ……」
聞いたこともない低いトーンでエリカさんに問われる
「ねぇ、悠史。千秋のことは忘れなきゃだめよ。じゃないとどうなるかわかんないわよ」
「はぁ……は、……っ」
疲労と安堵と色んなものでぼんやりとした意識の中で、僕はあの時のことを思い出していた
エリカさんがお店に来て
僕の人生が変わってしまったあの時
『…………悠史は逃げられないの。私のものになるしかないの。だって………』
そう言ったエリカさんが机の上に出したのは、一枚の紙だった
そこには雑誌の1ページをコピーしたようなものが印刷されている
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