言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
腕を持ち上げて眺めていると、鎖の音で僕の起床に気づいたのであろうエリカさんが部屋に入ってきた
「悠史起きたの?良かった……突然倒れるから……」
「睡眠薬か体調不良かぐらい僕にだってわかりますよ」
僕の言葉で心配そうに僕の顔を覗き込んだエリカさんの顔から一瞬で心配の色が抜ける
「……そう。でもごめんなさい。乱暴なことして」
「……」
頭の痛さは一瞬で過ぎ去ったものの身体のダルさは十分に残っていて、僕はその苛立ちをそのまま言葉に乗せて返した
「謝るくらいならどうしてこんなことをしたのかくらい説明して頂いてもよろしいですか?」
棘のある言い方を気にしてもいないのかエリカさんは置いてあった椅子に優雅に腰掛ける
自分が座るための椅子だったんだ
もしくは、ここでこうして繋がれている僕を眺める用の椅子か
「それはもちろん、その手に付いているものを見ればわかるでしょう?」
「僕をここに繋いでおくため、ですか?」
「そうよ?だって普通にお願いしたって、嫌だって言うでしょう?」
喜んで繋がれる人間などこの世にいるのだろうか
少なくとも僕はそうじゃない
「そうですね」
「ね?だから、こうするしかなかったの」
だからと言ってこんな手を使って人を繋いでいい理由にはならないけどね
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