
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
出来るだけ何も考えないように店に行って、店に入る
後輩たちに挨拶しながら控え室へ
中を見渡すが、まだ悠史は来ていなかった
「悠史はまだ来てねぇのか?」
「聖夜さん?まだ来てないよぉ」
「そうか」
鏡を見ながら返事をした内藤の頭を八つ当たりにぐしゃぐしゃに掻き回して、俺も自分の準備を進める
「ちょっとー!!!流星さんひどーーい!!!!」
「うるせぇ」
だが待っても待っても悠史は来ない
おかしい
流石にそろそろ来ねえと間に合わねぇぞ
開店までもう十数分しかなく、キャスト達はフロアに集まってくる時間
おいおい
「なぁ、悠史見なかったか?」
「いいえ、今日は見てませんね」
入り口にいた黒服に聞いてみても、知らないと言われる
何してんだよ?あいつは
そして遂に、開店まであと数分というところまで迫ってきてしまった
「お前ら集まれ」
店長の声に、全員が丸く集合する
くそ
悠史が来ねえ
俺の焦りとは裏腹に、店長の冷静な声が響いた
「突然で悪いが、今日から聖夜は店を休むそうだ」
は!?
誰も知らなかったんだろう
キャスト全員がざわつき始める
「暫く出勤しねぇみたいだから、聖夜の客逃さねぇように頑張ってくれ」
