
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
あ、う……と小さな打撃をうけたような声を出した流はそのまま黙ってメニューに目を通し始めた
俺は仕方なく内藤に一言言ってやる
「おい。あんまりいじめんなよ」
しかし内藤は何も気にしていない様子で
「ん?なに?なんか意地悪したっけ?」
とケロっと言って見せた
「くそこの天然ドSが」
「聖夜さん何食べる〜?」
悠史と内藤が何を食べるか二人で相談している間に流の様子を伺う
あーあー
落ち込んでる落ち込んでる
まぁ正直俺たちと内藤は店でも凄まじいスピード出世かましたからなぁ
誰かからその話も聞いたのかもしれねぇし
俺は流の頭に手を乗せた
「!……流星さん?」
「……気にすんな」
「!」
こっちを向いた流の目には悲しみの色がありありと浮かんでいて
少し意地悪されただけでこんなに悲しむのかよ、と若干面倒くさく思いながらもその純粋さを褒めてやりたい気持ちになった
「新人なんて誰だってそんなもんだろ。初めから上手く行く奴なんていねぇよ」
「ありがと……ございま、す……」
とうとう小さな涙の粒を零し始めた流を無視して出てきた水を飲みながら俺もメニューに目を通す
