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言葉で聞かせて

第1章 姉から突然の呼び出し

荷物はこれだけ、と渡されたのはリビングに置いてあった段ボール一箱


すっくねえ


とりあえずその箱を車に積み込む


「それじゃあ悠史君、敦史君、よろしく頼むよ」
「はい」
「あぁ」


俺の返事に姉さんが俺の頭を叩いた


「失礼な口聞かない!」
「……チッ……」


条件反射でしてしまった舌打ちに今度は睨まれた

俺たちのやりとりに苦笑しながら博秋さんが横に立っている千秋さんに話しかける


「千秋、元気でやるんだよ」
「……」


千秋さんはこくん、と頷いた


さん、って呼ぶにはなんか似合わねえな


「よし、行くか」
「では、弟さんお預かりしますね」


千秋さんを車に乗せて、俺たちも乗り込む
手を振り合って俺達は姉さん宅を後にした




「着いたぞ」


俺達の暮らしているマンションの駐車場に車を止め終わると、悠史がすかさず車を降りて後部座席のドアを開けた


「どうぞ。お疲れ様でした」


俺は逆側のドアを開けて段ボールを持つと、千秋さんが焦って駆け寄ってくる


「あ?こんな細い腕じゃ持てないだろ。いいから早く行け」


年上に対する言葉遣いじゃないよ、と批判的な悠史からの目線を流してエントランスに向かった

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