春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第12章 春の嵐
「……今日、メモを貰った時
なんとなく、そう言われる気がしたんだ」
「……えっ?」
「だって春ちゃん、講義中めちゃくちゃ寂しそうな顔してるからさ。
あー、きっとまた何かあったんだろうなって」
胸がぎゅうっと締め付けられる。
苦しくなって、ユキを見返すと
ユキは苦笑いをしながら、ふわっと髪をかきあげた。
「でも、本音言うと。
こう見えて、実はもっと前からビビってたんだよ」
「………!」
「水族館に行った時もそうだし……言ってしまえば、春ちゃんが初めてうちに来た時からかな。
期限付きって、俺が自分で言ったくせにね」
「………っ」
「……でも
出逢ってから、まだ3週間しか経ってないんだな……」
自分自身に言い聞かせるように呟いた、ユキの瞳が切なく揺れる。
テーブルに置いたスノードームの中で、光の粒がゆっくりと舞って
少しだけ沈黙が続くと
「……春ちゃん」
ユキが体を私の方に向けた。
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