春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第12章 春の嵐
バレないように気を付けていたのに、ユキの知名度は私の想像を遥かに上回っていて
教授や姉さん、空デの学生達、全然知らない女の子達まで
週に2日しか大学へ行っていないのに、質問攻めの嵐なのだ。
あと1週間の我慢とはいえ、今日も散々追いまわされた。
「もう、マスコミに問い詰められる芸能人の気分だわ」
「あはは、春ちゃん人気者だね」
「……私じゃなくて
ユキが、でしょ」
ほんと自覚無いんだから……
溜息を漏らして、飲み物を取りに行こうと立ち上がると
「いいよ、ここにいて」
「………!」
ソファに座るユキに、右手を掴まれて
「何もいらないから、隣りにいてよ」
「………っ」
「3日しか経ってないのに、既に春ちゃん欠乏症なんだ」
優しく引っ張られて、ソファに腰を下ろすと
頭にタオルをかけたユキの、爽やかな香りが広がった。
「……ユ、キ……」
「呼んでくれて、ありがと」
おでこをコツンとくっつけて
ユキの唇が、私の唇に重なった。
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