テキストサイズ

春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第8章 新しい一歩


「……奥さんが、いるのは知ってるの。
一度も見た事ないけど、とても綺麗な人なんだって」

「…………」

「ふふっ、バカだよね。
どんなに強く想っても、願っても
……叶うはず無いのに……」



遼くんは、会社ではドSキャラで、特別私だけに優しいみたいになってるけど


親しい友人達にしか見せない無邪気さがあって、情に熱い人だ。


……私は、その中の1人。


特別なんかじゃない。


何度も諦めよう、忘れなきゃって


……思っているのにな……




「なんだ、相手は “ 遼くん ” だったの」




再び押し黙った私。


膝を抱えたユキが、頭を倒して見上げてきた。




「だったら、泣かすなバカヤロウって念じゃなくて

春ちゃんは俺がもらうって、宣戦布告にすりゃ良かったな」


「………!」


「訂正する。

どんな関係でもいいって言ったけど

俺、やっぱり春ちゃんが欲しい」


「………っ」




「……だめ?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ