テキストサイズ

秘密の兄妹

第16章 壊れかけの心




――――――
――――
――


「え…紫織ちゃんが朝食を全部吐いた…?」



「ああ、悪いけど今日の昼飯、紫織と沢村も一緒になるけどいいか?

紫織、寂しがりやだし、学校にいるとき紫織を沢村だけに任せていたら沢村にも負担がかかる…

紫織が昼飯をちゃんと食えるかも気になるし…」



俺が自分の席に座り、風磨と大地にそう尋ねると、2人は心配そうな顔をして返事をする。



「俺は全然構わないよ…」



「俺も…」



「悪いな…」



隣の席に座っている風磨は少し黙ると、俺に話しかけてくる。



「なあ、紫織ちゃんが吐いたのって今日の朝食のときが初めて?」



「…ああ、昨日と一昨日はあまり食欲はなかったみたいだけど、一応食事はできてた…」



「そうか…」



風磨は目を細めて下を俯く。



「それにしても、悠人。

お前、紫織ちゃんにずいぶん優しくなったな…

紫織ちゃんが中1とか中2の頃は、お前すごく紫織ちゃんに冷たかったじゃん

何?最近になってお前もとうとう妹の可愛さ分かってきたわけ?」



大地が身を乗り出して俺に聞いてくる。



「…俺、そんなに紫織に冷たくしているように見えた…?」



「ああ、かなり。」



「冷たかったよ…」



大地の返事のあとに、風磨が低い声で俺の方をじろっと見ながら呟く。



「え…?」



「…お前の友達の俺から見ても、悠人は紫織ちゃん対してかなり酷い態度とっているように見えた…

当時、お前

【俺、いま思春期だから妹の存在なんて恥ずかしいだけだ】

とか言ってたけど

【思春期だから】とか、そういう理由を差し引いても、お前の紫織ちゃんに対する扱いは酷かった…

何で自分を慕ってくれる妹にこんなに冷たくできるのかって、俺、いつも疑問に思ってた……

…まあ、俺は一人っ子だから【妹】とか【兄妹】の関係性っていまいち理解できねえんだけどな…」



「…………」



…兄妹…か……







ストーリーメニュー

TOPTOPへ