齧りかけの林檎
第14章 ● 君の答え ♀side
抱きしめられる背中に、
歩くんの心臓の音が、聞こえる。
すごくドキドキしていて、
すごく心拍数が早い。
なにか言わなきゃ、と思うけれど、
わたしもこんな告白のされ方も初めてだし
こんなにかっこいい人からの告白も、
こんなに年が離れた人からの告白も、
なにもかもが初めてで、
体が固まったみたいに
唇も動かない。
歩くんが、ぐっと体を倒してきたので
な、なに!?と身構えたら、
「水、出っ放し」
と言って、
クスクス笑いながら
水道の蛇口をきゅっと閉めた。
「ありがとう、ござい、ます」
歩くんは
ドキドキしてると思ったら、
そんなことにまで気がまわって、
なんか、ずるいよ・・・。
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