齧りかけの林檎
第8章 ● 君の連絡先 ♂side
なんとなくだけど、手を取ってくれる気がしたから
賭けというほどのこともないのかもしれないけれど、
まだわからなかったから。
今ダメでも、
また図書館で逢ったら
今度は自分から声をかけて
仲良くなってからでもいいかなって思ってたんだけどさ。
あったかい彼女の手を握ったから、おれの手も彼女の体温であったまってきた。
「手ぇあったか。
もしかして、ポケットに手ぇ入れてた?」
「え、あ、うん・・・」
「今日は手ぇ繋ごうって言ったのにー?
寂しかったなーおれの左手ー」
よしよし、この調子だ歩。
この言葉の方が絶対にはずかしい。
聞くんだ歩。
がんばれ、がんばれおれ。
手を繋ぐほうが絶対にレベルは高い。
おれのことが嫌だったら繋がないはず。
そう、そうだ歩。
がんばれ。
がんばれ。
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