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A heart and wound

第5章 混沌

和Side

和「あ、潤、先楽屋行ってて!」

車に鍵をかけながら、そう伝えた。

潤「…あ、うん。なんか用事⁇」

和「ちょっと、人と会うんだ。…すぐ、行くから。」

潤「そっか。じゃあ先に行くね?」

そう言うと、潤は振り返ることなく、その場を後にした。

それを見送った後、もう一度車の鍵を開けて、車内に乗り込んだ。

しばらくして、助手席の扉が開き、その人物が乗り込んできた。

?「よっ!」

和「…岡田くん。わざわざありがとう。…しかも収録前に。」

そう、会う相手というのは、彼、岡田准一。

准「…ん?全然、まだ時間あるし。」

そう言ってニカッと笑った。

和「…ちょっと相談があって。」

准「…翔と相葉関係のこと?」

和「…はぁ…さすがですね、岡田くんは。」

岡田くんは、翔さんとのことを相談できる唯一の人だった。

…いつも、気にかけてくれていて、俺も不思議と岡田くんには話せてたんだ。

…もちろん、翔さんと俺の関係も知ってる。

准「で、どうしたよ?」

一つ、深呼吸をして、俺は口を開いた。

和「腹、括ろうと思って。」

准「…どういうこと?」

和「これ、返すつもり。…翔さんの鍵。」

そう言って、そのキーケースから外されたその鍵を手に乗せて、岡田くんに見せた。

准「…まだ、好きなんじゃないのか?」

和「好きですよ…」

准「…じゃ、なんで?」

和「…俺、潤と付き合うことになったんです。」

准「松潤も…翔のこと好きなんじゃなかったか?」

和「…だから、ですよ。」

それで、理解したのか、岡田くんはため息を1つついた。

准「…翔の時と一緒ってことか…」

和「…だけど、翔さんの時みたいな中途半端な関係じゃない、よ…」

岡田くんは黙って俺を見つめたまま。

…でも、それは急かしているような威圧感はなくて、俺の話の続きを静かに待ってくれているようだった。

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