
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
「嘉明っ!」
鬼の存在を忘れ駆け出しそうになるが、別物と言えるほど強くなった相手に隙を見せれば、一瞬で殺されてしまう。団右衛門は血の滲むほど拳を握り締め、頭に上る血を抑えた。
「団……すまない。このような醜態を晒し、本来ならば腹を切るべきだ。しかし私は、まだ生にしがみついてしまっている」
「馬鹿、大将は這いつくばってでも生きるのが仕事だろ!! 死ぬなんて言ったら、殴ってでも止めるからな!」
団右衛門は退魔の札を両手に山ほど持つと、八代に投げつける。もはや、憎しみは言葉にもならない。戦いの火蓋は、静かに落とされたのだ。
八代の体に一枚札が巻き付くと、そこから雷光が走る。同時に札が八代を囲み炎の壁を作り、八代を閉じこめようとした。
「そのような小細工、聞かん!」
団右衛門の術が衰えた訳ではない。しかし人の魂を食らった鬼は、格段に強くなっている。稲妻も炎も八代の赤い皮膚すら傷付ける事が出来ず、動きを止められないままかき消されてしまった。
「……チマチマ戦うのは無駄だな。頼れるのは、こいつだけか」
