
妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
「来なかったら?」
「その時は、あんたが惚れ直すほど活躍して、全員倒してやる」
団右衛門は嘉明の頬に軽く口づけ、嘉明の耳元に口を寄せる。そしてしっかりと手を握ると、嘉明を後ろに下がらせた。
「儂の至宝を汚すな!」
「いつ嘉明があんたのものになったんだよ。嘉明は髪の毛一本から爪の先まで、ぜーんぶオレのだ」
「退魔師の癖に、俗物めっ!!」
八代はますます頭に血を上らせ、怒りのまま団右衛門に飛びかかる。
「嫉妬は醜いぜ、鬼さんよ。嘉明を夢中にする技を磨いて、出直してきな!」
団右衛門は身軽に跳び回り、八代の拳をいとも簡単に避けていった。その上挑発するように尻を叩くため、八代の怒りは際限なく高まる。収まらない怒りは理性を奪い、八代の動きを直線的に、単純にさせていた。
冷静さを欠いた相手は、団右衛門の敵ではない。だが怒りに比例して、一撃が致命傷の重みと化している。団右衛門も、決して油断は出来なかった。
嘉明は下がって団右衛門を見守っていたが、一度倒した蜘蛛の目に光が宿ったのに気が付く。
「団っ、避けろ!!」
