溺愛禁止。
第8章 後悔
「…圭一の愛は、欲しくない。
もう、いらないの。」
「…。」
「アンタねー、しつこい、未練がましい。
男なら一言“わかった”って言って
とっとと帰んなさいよ。」
うなだれている圭一に
月子さんは続ける。
「可哀想なんて思ってないから。
今許されればアンタはまた絶対に同じことを繰り返す。
…反省するだけじゃ変わらないわよ。」
圭一は、わかってくれたのか無言で身支度を済ますと鞄を持って玄関へ向かった。
私は…最後の言葉を伝えるために圭一の背中を追い掛けた。
圭一は靴を履いて振り返ると
「さっきの勢い…
出逢った頃の恋実が見れたような気がして
…嬉しかった。
本当は恋実の笑顔が大好きだったのに…
笑うななんて…最低だよな、俺…。
これからは、ずっと笑っていろよ?」
そう言って私の頭を大きな掌でポンポン、としてくれた。
優しく微笑むその姿は…
私が好きだった頃の圭一だった。
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