「俺は、男だ!クソ野郎」
第5章 鬼ごっこ…?
「お、俺…殺される」
姫は、震えた声で言った。
いや…
多分、俺が殺される。
だって、
怒りの矛先が俺に向いてるからな!
だけど、俺だって、ここで引き下がる男じゃない!!
姫に興味あるし、
このまま王子になんて渡すような
勿体ないことしたくねー!
「えーと、大悟くんって言ったっけ?」
「どけっ。チャラ男」
む、ムカ~っ!
人が親切にしてやってんのに…
つか、人の話を聞け!!
あー、もうこいつは、
姫しか見えてねぇんだな。
まさに盲目って感じか?
うん。その言葉がこいつには、
ピッタリだ。
「岬、早くおいで。皆 心配しているぞ」
王子は、知恵を使い始めて
優しく言う。
「え…まじ?」
その途端に姫は、俺の横から
ひょっこり顔だけを出した。
「帰りにイチゴケーキ買ってやるから。ほら、行くぞ」
「あぁ、行く!!」
気づいたら、もう姫は
王子の隣にいた。
早っ!
イチゴケーキという単語が出た瞬間に
人が変わったようだった。
現金な奴というか…単純というか…。
それに、イチゴケーキが好きなのかな?
かわいっ。
俺が一人、心の中でニヤけていると
低い声で王子が『近づくな』と言い、
不適な笑みを浮かべながら
姫を連れ拐ってしまった。
てことは、それほど王子も
余裕がないということか。
杉本 岬…。
「今日は、おあずけか…」
静寂に包まれた図書館で
一人口角を上げながら笑った。
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