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鍵のない手錠

第2章 日常


「瑛!!!」

しばらく俺のことを呼んでいたのだろうか
すげーでかい声で仁にそう言われて
俺は目を開けた

「なにしとんねん。お前ぼーっとしすぎやろ」
「あー・・・っーか、俺寝てたろー?起こすなよー。仁のせーで、目覚めわりー。関西弁かよ」
「我儘言うなって。関西弁マイブーム。どう?うまいやろ?」
「きもい」
「はぁ?!!んだと!こら、瑛。襲うぞ!」

そう言って俺のこと
こしょばしてくるこの男は
同じ学科の数少ない俺の友達。

彼はゲイらしい。
カミングアウトしてきたが
別に俺はそんなの気にしないし
てゆーか、よくわからないし

そもそも隆司とのキスが忘れられなくて
女ともなにもできない俺も
どっかおかしいんじゃないかと、そう思ってたから

俺はそのことを秘密にしてるけど
女の話をしない
仁といるのは心地よかった


「瑛は本当に綺麗やな。身も心も、なんでそんなに無垢なん?」
「またそれ?俺別に無垢じゃないよ」
「そうか?その目元が男をそそるな。俺絶対、颯介さんバイだと思うし」

そういいながら、足を組み直すと
瑛が目を丸くした

「バイ?」
「お前ってやつは。バイも知らねーか。っーか、お前がモデルしたこの雑誌!男も女も魅力する、魅惑の日向瑛ってタイトルのくせにー!本当かよー」
「知らねーよ。勝手にあっちが考えんだろ。俺は仕事しただけ。」
「ゲイは?」
「知ってるよ。男が好きなんだろ?お前そー言ってたじゃん」
「バイは?」
「なにそれ。興味ねぇよ」

そう言って、瑛がニコっと笑った

可愛い・・・
なんかまじでこいつに手を出さないようにしてるけど
俺の息子が常に限界だわ

そう思いながら、大きくため息をつく
「仁。ため息つくと、幸せにげっぞ?」
「もー、気をつけろよ。瑛に色目使ってるやつ、結構いるぞ。なんでそんなに無邪気っーか、笑顔振りまけるわけ?笑うな」
「は?意味わかんねーよ、なに、色目?ないない、俺そんなん興味ないもん」

ケラケラ笑ながら
そう言う瑛

眩しくて綺麗で魅惑の男


でも、異性にまるで興味なし
というか、性自体に無関心

瑛がオナってるなんて
一切想像できねーし


どんだけ綺麗なんだか


そう思いながら、笑ってる瑛の腕を掴んで立たせて
講義室へ移動した

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