恋してキスして抱きしめて
第21章 全力で、取り戻せ
………………………………………………
慌ただしくシャワーを浴びて、俺の私服を着たユーリ。
系統から体格までほぼ同じだけど、靴のサイズまでぴったりだとはさすがに知らなかった。
「お前、その残った仕事。
どのくらいの時間で終わる?」
玄関で、スニーカーの靴ひもを結ぶユーリの背中に声をかける。
「あ? 時間?
上司の機嫌にもよるけど、まぁ1時間ってとこじゃねぇの」
「1時間、な」
「速攻終わらせてやる。
1秒でも早く逢いたいから」
その言葉通り、ちょっとの時間も惜しいのか、ユーリは振り返らない。
……ったく、どこまでも真っ直ぐな奴。
「じゃあな、ヒメ。
色々サンキュ」
「…………」
「また報告するから……」
「ユーリ」
ドアに手をかけたユーリの後ろ姿に向けて
俺は心からの願いを込めて、息を吸った。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える