恋してキスして抱きしめて
第20章 ただ、想うだけで
「……千夏に話をしてきた、今年で28になる俺の大学時代の仲間は
みんな、切ない片想いの経験者だ」
「…………!」
「どんなにイケメンでも、美人でも
心が綺麗でも
一生叶わない……それ以前に許されもしない
そんな一方通行の恋も、あるんだよ」
お兄ちゃんのもう片方の手が、あたしの手に重なった。
「……千夏。
お前には、限りなく可能性があるから
諦めないで、ユーリを信じてもう一度素直になれよ」
「…………」
「伝えることが大事だから。
……がんばれ」
………一生叶わない、恋。
お兄ちゃんの好きな人には、別の誰かがいるってことなのかな……?
世界中を歩いているから、出逢いもある分、別れがあるのかな……?
でも、ずっといるってことは………昔から……?
相手が誰かまでは言わないけど
寂しそうに微笑んだお兄ちゃんを見ると、胸が痛くなってきて
あたしはぎゅっとその両手を握り返した。
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