テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬

 刹那、瞼に一人の男が浮かび上がる。美しい眼許のついぞ見かけないような美男、しかし、その瞳の底にはいつも何か孤独の翳りのようなものが閃いている。
 小紅の心に言いようのない哀しみがひろがった。
―私はまだ栄佐さんを好き。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ