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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬

 そこでお彩は淡く微笑って、小紅を見つめた。
「こんな話をすると、小紅さんはさぞ親馬鹿な母親だと思うでしょうけれど」
「いえ、そんなことは」
 他に言い様もなく、小紅は曖昧に笑った。
「でもね」
 突如として、お彩の口調が変わった。まるで小さな我が子を生命賭けで守ろうとする母虎のような気迫が普段はもの柔らかな面から滲み出ている。

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