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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第7章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】

 二人は他愛もないことを話しながら、境内を元に戻り長い石段を降りた。石段のたもとに小さな茶屋があり、花見時分は美味しい桜餅を食べさせることで知られている。腰の曲がった老婆が一人でこしらえるので、作る数が知れている。そのため、期間限定で桜餅が売られている最中は行列ができ、昼前には早々と売り切れといったほどの人気だ。

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