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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間

 遊女はどんなに位の高い花魁でも、死ねば無縁仏として葬られ、墓は作られない。
 最後の場面では、無縁仏を祀るさる寺で若く美しい僧侶が経を捧げているところで終わる。僧の周囲では満開の桜が春爛漫を告げているのに、僧は滂沱の涙を流しながら、ひたすら経を唱えている。
 その美僧こそ、光君の変わり果てた姿であった―。
 そこで幕が降りる。

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