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　そこまで考えて栄佐は首を振った。
　何を下らぬことを考えているのだ、俺は。
　角倉の家を棄て爺を裏切ったのは、他ならぬ自分で決めたことだ。それを今になって、他の誰かが側にいてくれたら、自分の選んだ道が違っていたものになっていたかもしれないと考えるだなんて、あまりにも虫が良すぎる。
　今の栄佐がいるのは誰の指図でもなく、彼自身が選んだ道なのだ。