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　栄佐が譜代の旗本である角倉氏の当主となったのは、わずか十三歳の砌だった。父の早世に伴い、突如として幼君を頂くことになった角倉家は家老や栄佐の守り役であった用人佐竹源五郎初めとして皆が懸命に幼君を盛り立てることで、その危機を乗り切った。
　まだ元服したばかりの少年栄佐は聡明とはいえ、背丈も十分に伸びきってはおらず、貌には幼さを残した子どもに過ぎなかった。