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　智助の方は若いだけあって、体力も生命力もおきみの比ではない。が、それでも、医者として見れば、けして回復が順調とはいえない状態であった。
　栄佐の思考はいつしか、おきみと智助から、別のことに移っていた。彼が久々に想いを馳せたのは幼友達の輿平太であった。かれこれ逢わなくなって十七年も経つ幼なじみが恋人の小紅の災難を救ってくれたという。
　人の縁(えにし)とは判らないものだと、つくづく思わないわけにはゆかなかった。