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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第19章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 異変

 おきみの言葉に、小紅は真顔で首を振った。
「私、今でも忘れてないのよ。私が二年前にここに越してきたばかりの頃、まだ内職もやってなくて稼ぎもなかった私に、おきみさんは毎日のように夕ご飯を作って持ってきてくれた。おきみさん、私はここの長屋も住んでる人も大好きなの。皆、同じように毎日暮らしていくのが一杯一杯だけど、困っている人がいたら放っておかないでしょ。

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