テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第19章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 異変

 先代市兵衛との縁談を断ったからには、京屋での仕事はもう任せて貰えないだろうと覚悟していたにも拘わらず、大内儀のお彩(さい)は今も変わらず小紅を信頼して仕事を任せてくれる。息子の徳太郎も懐の大きな男気のあるひとだったけれど、彼の人柄は江戸でも屈指の〝大商人(おおあきんど)〟と呼ばれる彼の父親陽斎(先々代市兵衛)や、その母お彩ゆずりのものかもしれない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ