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闇の王と光の騎士

第11章 戦慄の国内浄化作戦

閉ざされた森という些か文学的な表現の森がある。

しかしその名前の由来は少しも文学的ではない。

かつてこの土地では軍事演習が行われていた。

その訓練は壮絶を極め、生存者が少ないことで悪名を馳せていた。

訓練の内容は森の端から端まで走破するというだけの簡単なものだ。
しかしもちろんこれには裏がある。

第一にこの森は広大で、端から端までの全長は百キロもある。
第二にこの訓練にはナイフ以外持ち込みは禁止。食料はもちろん水も、水筒すら与えられない。

それだけでもかなりサバイバルだが、問題はその次にある。

軍はこの森に毒蛇や猛獣を放ったのである。
ナイフひとつで最短でも百キロのサバイバルをしなくてはならない。

あまりに苛酷すぎてその訓練はやがて廃止されたのだが、問題は猛獣や毒蛇だった。

軍が放ったそれらは自然に繁殖をし、今や森の至るところに棲息している。

事態を重く見た政府はこの広大な森を塀で囲み、隠蔽するかのように閉鎖した。

それが『閉ざされた森』という名前の由来だ。


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