
とあるホストの裏事情・完
第29章 氷悠 × 遥
12月24日
街は完璧に、クリスマスムード一色で染められている。
カップルが次々と入っていく店や、
トナカイやらツリーやらのイルミネーションを店頭に飾る店も。
おい、サンタどこだよ。
牡丹雪並みの雪が降る中、俺らは向かいあって佇んでいた。
カップルが幸せそうに通るのを横目で見ながら、目の前の顔を真っ赤にしてる遥を見つめる。
「…っ、ふざけてるなら、殴るよ?」
「…そんなこと俺にできないくせに」
確信を持って言うと、遥はムッした顔をした。
遡ること、5分前。
俺は、遥に人生初の “ 告白 ” をした。
『遥、セックスしよ』
『ぶっ! 氷悠、おまえ何いってんの!!?』
ツリーの下のベンチで、息を吐くように言った俺に、動揺を隠せない様子。
