
溺れる愛
第7章 勉強
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「違う。何回言わせれば気済むんだよてめぇ」
『うっ…ごめんなさい…』
いざ勉強を始めてしまえば、那津は予想外にスパルタで
芽依はひーひー言いながら着いていくのに必死だった。
とりあえず芽依の苦手な理数からという事になり
今は数学を教えて貰っているが、一向に進む気配はない。
「あれこれ考えるから出来ねぇんだよ。
数学なんて単純なんだ。
公式さえ覚えれば猿でも点とれる」
(今…何気に猿以下って言われたよね…)
自分の理解の悪さに泣きそうになりながらも必死に机に向かう。
そしてさらに意外な事に、那津はそんな芽依に呆れる素振りは見せても
何度も根気よく同じ事を一から丁寧に教えてくれた。
「ほら、もう一回やってみろよ。さっきも言っただろ?これはただの引っ掛けで本当は──…」
(本当に頭良いんだ…この人…)
ぼんやりと那津の横顔を眺めながら
その頭の良さに感心していると
「手止まってる。そんなに俺の顔見たい?」
(そう。コイツはこんな奴よ。所詮悪魔よ。)
芽依はなんとかその後も一枚のプリントに奮闘した。
