溺れる愛
第6章 変化
「急にこんな事言って迷惑だったらごめんね?」
『……?』
「良かったら連絡先、交換しない?
俺もっと芽依ちゃんと仲良くしたい」
(─────!!!???)
もしかしたらこれは夢なのではないか。
自分に都合の良い夢。
そう思って思わず固まる芽依に
先輩は少し悲しそうな顔で
「やっぱり…嫌かな?」
その声にハッとして、思わず大きな声で返事をしてしまった。
『い、いえ!!嬉しいです!!』
その答えに先輩は一瞬、驚いた様な表情を見せた後
すぐにまたいつもの優しい笑顔に戻って
「ははっ。良かった!俺も嬉しいよ」
きゅーん。
今、もし心のときめきを漫画みたいに表現するなら
自分は確実にこうなった。
芽依は少し震える手でポケットから携帯を取り出すと
そのまま先輩と連絡先を交換した。
「俺、川上俊哉(かわかみしゅんや)。
俊哉って呼んで」
(よ…呼べない!!恥ずかしすぎて無理!!!)
『は…はい…!』
「じゃあ、また連絡するね。わざわざ来てくれてありがとう」
爽やかな笑顔を残して先輩は三年生の棟に帰って行った。
(川上…俊哉さんって言うんだ…)
今、まさに起きていた状況を思い返して
思わず顔がふやけてしまう。
(夢じゃない…夢じゃないんだ…!!)
芽依は小さくガッツポーズをしながら
弾む足取りで教室へと戻って行った。
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