溺れる愛
第18章 久しぶりのときめき
那津が私に残してくれた唯一の思い出の形。
それは、ネックレスと携帯。
八年間、ずっと解約しないのは…どうして?
このネックレスだって…どうして?
ただの偶然なの?
違うよね…?那津は私の好みをちゃんと知ってて
それで最後に残してくれたんだよね?
あの時…もしちゃんと気持ちを言えてたら
何か変わってたのかなぁ…。
ただ、この本に書かれた私は強すぎる。
『私…こんなに強くていい女じゃないよ、ばか…』
もし私にこんな強さがあれば
最後になるってわかってたら
“最低、大嫌い”
なんて言わなかった。
あの時、私はあなたが好きなのに!とすがりつけば
那津は私を抱き締めてくれたのかな……。
すっかり暗くなってしまった部屋で、
那津の思いが詰まった本を抱き締めながら
静かに切ない涙を流した。
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