溺れる愛
第15章 確信
『いやっ…!!!』
気付いた時には、そう叫んでいた。
「………なんで?」
『…ごめん…なさ…い…』
すると、押さえられていた腕を解かれ
力無く俊哉は起き上がってベッドサイドへ腰掛けた。
(もう…ダメだ……これ以上嘘つけない…)
それは、俊哉に対してもだし
自分の気持ちにもだった。
キスされそうになった瞬間、咄嗟に頭に浮かんだのは
あの切なそうな顔をした那津で
そう思ったら、口が勝手に嫌だと叫んでいた。
もう目を逸らせない。
自分は…那津が好きなんだと。
皮肉にも、こんな状況になって
そう確信してしまった。
もう蓋をすることも出来ないほどに気持ちが溢れている。
常に彼を考えている。
こうして俊哉といる間にも。
芽依はサッと乱れた服を整えて
背を向ける俊哉に、意を決して話を切り出した。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える