溺れる愛
第14章 錯乱
見た目は自分と同い年くらいの
凄く可愛らしい女の子だった。
たぶん大人になれば綺麗な女性へと変貌を遂げるだろう美貌。
(誰とも付き合う気はないって…彼女がいるからって事?)
前に那津が告白されていた場面を思い出す。
あの時彼はキッパリとこう言い切っていた。
(じゃあ尚更あの子は何なの!
あんなに寄り添ってジュエリーショップに来るぐらいなんだから…)
ペアリングでも見に来たのだろうか。
悶々としながら頭を抱え、うーんと唸ってばかり。
(ていうか…なんで私こんなにモヤモヤしてるの…。別にどうだっていいじゃん、あんな奴…)
突き放されたと思えば優しくされて
心を許しそうになった瞬間、こうしてまた突き放される。
いくらこのモヤモヤを粉砕しようとしても
それは無駄な努力に過ぎない。
頭に浮かぶのはやはりあの女の子と
それに見たことのない穏やかな笑顔で対応する那津。
眼鏡をかけていても、その奥の瞳が優しい事にすぐに気がつくほど
(あんな顔…私には絶対しない…)
なんだかそれが悔しい。
認めたくないけれど、今確実に自分はそれでヤキモキしている。
(どうして…………あいつの事なんて
考えたくない……。)
そう思えば思うほど、考えてしまうのだった。
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