溺れる愛
第14章 錯乱
重い気持ちのまま、芽依はバスケ部が練習する
体育館の隅にぽつんと座っていた。
那津はあのあと何も言わずに綺麗にお弁当を食べてくれて
去り際に、うまかった、御馳走様と呟いていた。
挨拶だけは丁寧な彼に少しだけ笑って
そのまま放課後まではずっと俊哉の事を考えていた。
もうそろそろ練習が終わる五時半を迎える。
帰り道、切り出すべきかどうかをずっと迷っていた。
それは、自分も同じだから。
那津と身体の関係を持ってしまっている以上
強く出られないし、そんな資格もない。
だけど悲しい事は悲しくて。
自分も同じ事をしていると痛感した芽依は
むしろそちらの方で落ち込んでいた。
(私には…何も言う資格なんてない…。)
このまま無かった事にするのが
善処を尽くしたことになると思う。
「じゃあ今日はここまで!お疲れさまでしたー!」
「「お疲れさまでしたー!!」」
俊哉の号令で練習が終わりを告げる。
(今日はあんまり練習どころじゃなくて見れなかった…)
ほとんど下を向くか、呆けるかしかしていない。
俊哉の着替えを待って、そのまま2人は部員に挨拶をして体育館を出た。
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