溺れる愛
第13章 疑惑
『昨日はご迷惑をお掛けしましたっ…!』
波瑠と和人に深々と頭を下げて
いいからいいからと焦られて最終日が始まった。
正直身体はかなり辛かったけれど
自分がした事だから仕方ない。
それに、激しく後悔したって遅いのだ。
那津の腕の中で目覚めた朝は
実に何とも言えない気分だった。
今日の営業時間が終わったらその足で地元へ帰る。
そうすれば多分この生活も終わる。
無かった事になんて絶対に出来ないけれど
出来ればそうしたい。
なんて都合の良い最低な女なんだろうと
飽きるほど考えた。
だけど、やはりそうする他なくて
どうしても俊哉にすがっている自分がいて
芽依にはどうすることも出来なかった。
『はぁ……』
今日、何度目かもわからない溜め息をこっそりついて
仕事に専念する事に集中した。
幸い、昨日の様な事はなくて
無事にお手伝いを終えられそうだった。
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