溺れる愛
第12章 共犯
「大丈夫だって。気持ちよくさしてやるから」
そんな事を言いながら、芽依の胸に顔を近付けた瞬間
何が起こったのかわからない程
一瞬にして男の顔が横に吹き飛んだ。
正確には身体ごと。
(……え…?)
そしていつの間にか塞がれていた口も解放され、
手も自由になっていた。
「うっ…」
男達の呻き声が聞こえる。
目の前には大きな背中と黒い髪。
「てめぇら…人のモンに手出してんじゃねーよ」
その低い声は少し怒気を含んでいる。
『…な……つ……?』
ゆっくりと振り返った彼は
肩で息をしながら、見たこともない様な
焦りと怒りと安心が全てごちゃ混ぜになった様な顔をしていた。
「…行くぞ」
バサッと那津のパーカーを肩からかけられて
優しく抱き起こされる。
そのまま那津の身体にもたれる様な形で
のびた男達を放ってその場を後にした。
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