溺れる愛
第9章 花火
一瞬、時が止まった様な気がした。
遠くで聞こえる花火の音だけが耳に届いて
それ以外、何も聞こえなくて。
(先輩…今……好きって…言った…?)
ぶつかる視線を逸らせずに
まだ信じられなくて呆然と視線を見つめる。
「…芽依は?…俺のこと…好き?」
(私は…もちろん…)
『……はい…好きです…』
その瞳に捕らえられた様に、自分の気持ちをはっきりと口にした。
その瞬間、俊哉は艶っぽい微笑を浮かべて
「良かった…俺も…芽依が好き…。
こんなに必死になったの…芽依が初めて」
『…本当…ですか…?』
(これは…夢?それとも現実…?)
「本当…。なんか…夢見てる気分」
『わ、私もです……』
抱き合ったままの状態で
至近距離で言葉を交わす。
周りには誰もいなくて、2人を邪魔するものなんて
何もなかった。
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