
片想いの行方
第62章 過去と未来
▼Side... 蓮
「………蓮くん………!」
搭乗口の手前で、後ろから美和の声がして
俺はゆっくりと振り返った。
「………美和………」
さっきまで、零れる寸前だった涙が
美和の大きな瞳から止めどなく溢れている。
「……蓮くん、私………」
すぐ目の前に立ち、震える手でそっと俺の腕に触れると
美和は大粒の涙を流しながら続ける。
「………こんなこと、言っちゃだめだって分かってる。
言ったところで、どうしようもないから。
……だけど」
顔をくしゃくしゃにして、美和はぎゅっと手に力を入れた。
「蓮くんが好きだった。
大好きだったの。
蓮くんが私と付き合ってくれたあの頃は、私にとって1番楽しい1年だった。
今でも、大事な宝物で、大切な記憶で………
蓮くんに出逢えて、蓮くんに恋する事ができて
私………幸せだった。
本当に、幸せだったんだよ……」
