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片想いの行方

第58章 忘れられない人



「……良かったね、美和」




クリスマスソングが流れる中、アンナが静かに口を開く。




「あの優香さんまでいたのは驚いたけど。
ヒメを筆頭に、総力戦で美和を助けてくれて」


「……うん。
本当に感謝しきれないよ。
アンナも……来てくれて、本当にありがとう」




私がお礼を言うと、アンナは笑った。




「いやいや、私は全く役に立ってないから。
もっと早く会いに来なかった事を、今も後悔してるし。

……それに」




アンナは目線を外の夜景に向ける。




「……蓮くんはちゃんと気付いてたから。

それをもっと早く美和に伝えるべきだった」



「……え……?」





私がアンナを見ると


切ない表情で、アンナも私に目線を戻した。




「私、前に電話で、本当に元気?って聞いてたでしょ?」


「…う、うん……」


「あれね、蓮くんからの言葉なんだよ」


「……………!」




その名前を聞くだけで、胸が締め付けられる。




「前は会社の話とか、服の話とかいっぱい書かれてたけど


いつからか “ 元気だよ ” しか言わないって。


しつこく聞くのも未練たらしいんだけど、心配だって」




「…………っ」





「突然蓮くんからメールが来たからビックリしたんだけど。


……多分、蓮くんもっと前から気になってたんじゃないかな。


私を救出の場に行かせてくれるくらい

蓮くん、美和の事を考えてるんだよ……」

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