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片想いの行方

第54章 再会






クリスマスまで、あと2日。



腕時計の針が、夜の8時になろうとしている。



金曜日のこの時間、多くの人達が行き交う駅のロータリー。



私はすぐ近くにある時計台の下に立ち、キラキラと輝くオフィスビルや車のヘッドライトを見つめていた。




白い息が舞って、夜空へと消えていく。




……あと1時間で、9時になる。


でも、もうあの人の所へは行かなくていい。




あれからまだ1週間も経ってないから、実感が湧かないけど。



平日の夜、誰かと食事に行くために、こうして待ち合わせをしていることだけで



今すぐ両手を上げて万歳したいくらい、嬉しくて仕方なかった。





その時、ポケットの中の携帯が鳴る。




『遅れる。15分待て』




私を救いだしてくれた、ヒーローからのメール。



ゴメンの文字も無し、たったそれだけの命令口調。





でも、私は微笑んで返信をした。






『いいよ。いつまででも待ってる』

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