テキストサイズ

片想いの行方

第51章 制裁



一条さんは右足を押さえて、引きずるようにして歩くと


顔を歪ませながら、ソファに座った。




「この前も医者に行ったんだけどね。

良くなるどころか悪化してると言われてしまったよ。

……このままだと、歩けなくなるかもしれないそうだ」




「……そんな………」








(………ホントウナノ……?)






心の奥から、小さい声が聞こえる。



だけど、私がその疑問を彼に言うことは出来ないから



ぐっと胸の奥へしまい込んだ。





「美和、そんな顔をするなよ」




一条さんはニッコリと笑う。




「治療費は凄くかかってるけど、美和に請求したりしないから。


俺は鬼じゃない。


今まで通り、朝の7時と夜の9時に来てもらうだけで


許してあげるから」




「……………」


  




………そうだよ、私。





何を勘違いしてるの。





私は、一条さんに “ 救われて ” るんだから………

ストーリーメニュー

TOPTOPへ