
片想いの行方
第37章 ひとつだけの宝物
心拍数が上がる。
酷く冷えた体に、瞬く間に血が巡ってくる気がした。
突然のことに唖然として、その震える体に手を回せない俺に
美和は小さい声で言った。
「……ヒメ……
あたし………過去にできないの…………」
「………………!」
「蓮くんと付き合ってから、何度も忘れようとしたけど。
……ヒメは、今でもあたしの心の中にいるの。
蓮くんの事が大好きなのに。
……本当は、ヒメのことばっかり目で追っていたの。
蓮くんは、もうこんなあたしに愛想がつきたんだよ。
………だって………
蓮くんの所に戻りたいって思ってるのに
あたし……
今、久しぶりにヒメの顔が見れて……
声が聞けて
すごく嬉しいの………」
