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隠れて甘いkissをして

第1章 ツイてない日

「悪い、出てもいい?」

「ええ、どうぞご自由に」



彼女からの電話。


……聞かなくても分かってしまうのは、大抵この時間になると決まってかかってくるからだ。



「あぁ、まだ飲んでる。
麻里奈(まりな)はそろそろ寝るんだろ?」



時計の針は10時を回ったばかり。


この時間で既に就寝。


相変わらず寝るのが早いのは、美容の為かしら?


無意味に自分の携帯を触りながら、立花と彼女の会話に耳を傾ける。



「明日は取引先から直帰するから、そのまま迎えにいくよ。
この前麻里奈が行きたいって言ってたとこ……
そう、予約してあるから」



立花はふっと微笑むと、穏やかな声で続けた。



「おやすみ麻里奈。
明日、俺も楽しみにしてるよ」



………電話の向こうの彼女が、幸せそうに微笑む姿を思い浮かべる。


明日、彼女はアフター5のデートという楽しみが待ってるから、1日の仕事を乗り切れるんだと思う。

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