隠れて甘いkissをして
第62章 甘い昇格
「もう泣くなって。
閉店ギリに行ったから、最後の1個だったんだぜ?
食わないなら俺がもらう」
先輩はケーキを持って立ち上がった。
「あ……!
だ、だめです! いただきます!」
あたしは慌てて涙を拭う。
イスに座り直して、崩れたケーキを箱に入れた状態のまま、一緒に入っていたフォークを使って一口食べた。
口の中いっぱいに、甘いクリームが広がってとろける。
「うまい?」
先輩は反対側の席に座って、あたしと向かい合う。
「……っ…
今まで食べたケーキのなかで、1番美味しいです…」
「ははっ、大袈裟」
先輩は笑う。
…大袈裟じゃないよ、先輩……
涙でぐちゃぐちゃだけど、こんなにも甘くて、ほっぺが落ちそうなケーキを食べたのは初めて。
美味しくて、嬉しくて、体がとろけちゃう。
それに……
「これ…駅前のケーキ屋さん…
どれも好きだけど、香、この苺のショートケーキが1番好きなんです。
どうして分かったんですか?」
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