隠れて甘いkissをして
第61章 夢じゃないよね?
「ねぇ、もう切ってもいい?
あたし集中したいから。
楽しんでね」
『あー、分かった。
どうせ仕事が終わらなくて居残りしてんだろ?
香パソコンとかとろそうだもんなー』
元彼の言葉と笑い声に、胸が痛くなってくる。
「…あたしの仕事してるとこ、見たことないじゃん…」
『無いけど分かるよ。
まぁ、香の取り柄といったらその見た目とバカみたいな明るさくらいじゃねーの?』
……悔しい…。
あたしは唇を噛んだ。
『そんなだからまだ次の彼氏出来てないんだろ?
寂しいよなー』
「寂しくなんかないよ。
少なくとも、そんな言い方されるくらいなら、彼氏なんていなくても仕事してる方がずっといいもん!」
『そームキになるなって。
ほら、早く終わらせて来いよ。
俺がもう一度慰めてやるからさ』
一人きりの社内で、元彼の声が耳を貫く。
…泣かない。
泣くもんか。
あたしは無言で電話を切ろうとした。
その時
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