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「ありがとう。
君が教えてくれなかったら、気付けなかった」


「……え？」




急にお礼を言われた俺は、驚いて顔をあげた。




「 “ 立花彰 ” 」


「………！」


「この車に向かって真っ直ぐ歩いて来るのを見て、君が本人だとすぐに分かったよ。

だから、大人気なく牽制しちまった」




七瀬隼人は、ふっと笑って続ける。




「俺と出逢う前の由宇は、君の事を好きだったわけだし

君が由宇の事をどれだけ大事に想っているかも、この短い時間で分かったから。

そんな男が由宇のすぐ近くにいるって思ったら、正直余裕無くなったんだよ。

だからさっき威嚇した」


「…………！」




その男は


痺れるような笑顔を見せた。




「参ったよ。

立花彰がこんなにカッコイイ奴だったとはな」