
隠れて甘いkissをして
第50章 約束
俺の顔のすぐ前まで迫ってきていた七瀬隼人は、しれっとして運転席に体を戻す。
「分かってくれればいいよ」
そう言って元の穏やかな目に戻り、またタバコを吸い出した。
「………………」
心臓がバクバク鳴る。
俺が女だったら、その目と声にやられて即刻落ちてるだろう。
………なんだかもう、色んな意味でこの男には敵わない。
「そもそも君、あの彼女とすんなり別れられたの?」
「は?」
「俺が見た時の君の彼女は、由宇に何度もアキくんに近付くなって詰め寄ってたから。
そーいう意味でも少し気になったんだけど」
……そうだったのか。
俺は頭を掻きながら口を開く。
「……最後、麻里奈は暴走ぎみだったんだけど……
でもちゃんと話したから。
咲原にもその後会いにきてる様子もないから、問題ないかと……」
